〜 A transitory whisper 〜



  When you wish upon a star
  Make no difference who you are
  Anything your heart desires
  Will come to you

  If your heart is in your dream
  No request is too extreme
  When you wish upon a star
  As dreamers do

  Fate is kind
  She brings to those who love
  The sweet fulfillment of
  Their secret longing

  Like a bolt out of the blue
  Fate steps in and sees you through
  When you wish upon a star
  Your dream comes true

  His wish was fulfilled.
  It fulfilled the true wish by overcoming many difficulties.

  then――


  how is she?

 心を込めてそう望むなら、願いはきっと叶うのだ。
 いつもなら笑い飛ばすような戯言を、あの時、あの瞬間は露程の疑念も懐かずに信じていた。
 それはきっと彼女が傍に居たからで、たとえ願った先に星が瞬いていなくて、空一面が今にも泣き出しそうな黒だったとしても信じる事が出来たに違いない。
 そこだけは今でも絶対の確信を持って言える。
 願った事はたった一つ。
 ――――
 ただ、それだけを祈った。
 満点の星空の下、二人でその中を走り抜けていく流れ星を追いかけて。
 ただ、それだけを。
 願い事を誰かに教えてはいけない。教えてしまうと叶えて貰えないのだ。
 そう言ったのはどちらだったか。
 覚えている訳ではないけれど、互いにささやかな秘密を持つのも良いか、と頷きあう。
 それは二人が互いに懐いた最初で最後の秘め事。
 それでいて互いの心にきっと届いているだろう願い事。
 神に祈りを捧げるように胸の前で手を組んで、二人は真摯に願ったのだ。
 星に願いを。
 そう、あの時は確かに。
 その願いがきっと天まで届くのだと思えたのだ。
 それはきっと彼女と一緒だったから。
 他の誰でもない彼女と。
 そして、だからこそ――
 彼女はその願いを胸に懐いていたのだ。
 ずっと変わらない、その願いを。


                     Prelude Zero Episode10 “星に願いを 〜 A transitory whisper 〜 ”


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