エピローグ〜 for you 断片の中の君へ 〜
拝啓、断片の中の君へ。
僕の今いる世界はとても居心地が良い。
居心地が良すぎて実は夢何じゃないかと思うほどに。
『君』に似た『彼女』に出会って、『彼女』に似た『君』を知った。
これはきっと偶然なんかじゃ無いと思う。
かと言って運命とかそんな格好良い表現をする気にもなれない。
ただ出会った。それだけで良いと思う。
僕は君のことを何も知らない。
笑った顔も、泣いた顔も、名前さえも。
君のことを何も憶えていない僕は果たして君を知っていると言えるんだろうか?
君をしっているそれを不確定から確定たらしめている物、それはただの感覚だ。
僕の目が、耳が、体の全てが君を知っていると告げているだけだ。
これは悲しいことなんだろうか?
それとも喜ばしいことなんだろうか?
何も憶えていないことは悲しいことだと思う。
でも知っていることを喜んで良いと思う。
僕は君のことを何も憶えていない。
僕は彼女の名前を知らない。
僕は何も知らない。
だから僕は探そうと思う。
それが僕に今できることだと思うから。
それは僕に何をもたらすんだろう?
それは悲しみと絶望かもしれない……
でも、
それはもしかしたら喜びと希望かもしれない――
この先に何が待っていようとも、僕は探してみようと思うんだ。
僕自信のために。
君という名の世界を――
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